CRICED University of Tsukuba

筑波大学教育開発国際協力研究センター Center for Research on International Cooperation in Educational Development

センター長挨拶

概要

筑波大学教育開発国際協力研究センター
センター長

佐藤 真理子
センター長佐藤真理子

平成23年10月

  教育開発国際協力研究センター(以下CRICED)は平成14年4月1日に国立学校設置法施行規則第20条の3に基づく筑波大学の学内共同研究施設として設立され今年度は10年目にあたります。
本センターは、センター長1名、教授1名、准教授1名、事務主任1名からなり、3名の教員の研究活動分野はそれぞれ「算数数学教育」、「特別支援教育」及び「国際教育:ドナーの教育開発援助政策」です。CRICEDは日本の伝統である授業研究を教育学系・障害科学系の理論研究、附属学校教育局の実践研究を基に国際的に発信しており、授業研究は教員の質を向上させる有効な手段として国際的に高い評価を得ています。 当センターの第二期中期計画(2011-2016)は以下のとおりです。


1.東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)、東南アジア諸国、中南米諸国及びアジア・太平洋経済協力(以下 APEC:加盟国21カ国)等との連携を密にし、共同研究を推進する。
  1. ① 南南教育協力における教員研修プログラムの比較研究
  2. ② 算数・数学教員研修教材と研修プログラムの開発・共有
  3. ③ 国際的な教育情報の共有と共有システムの開発
  4. ④ 特別支援教育の質の改善と教材開発

2.文部科学省が実施する国際教育事業に協力し、引き続き拠点センターとして国際教育協力を先導する。
  1. ① 青年海外協力隊派遣現職教員制度の推進
  2. ② 国際協力イニシアティブ・アーカイブスの管理・運営
  3. ③ 国際教育協力日本フォーラムの開催

3.教育学専攻(前期)・学校教育学専攻(後期)・教育基礎学専攻(後期)・障害科学専攻・教育研究科の理論研究及び附属学校教育局の実践研究を連結し、これまで築いてきた国内外のネットワークを強化・拡充するとともに、JICA等との連携を通してその成果を活用する。

   CRICEDは近年国際的に注目を集めている東南アジア、中南米の新興国を中心に教育協力研究・事業を行う戦略を策定し、その地域の多国間地域組織であるSEAMEOとAPECとの連携を強めています。新興国は今後、教育研究分野においても協力の成果が強く期待できます。東南アジア地域については、CRICEDは筑波大学がSEAMEOの連携機関(Affiliate Member)になるよう手続きを行い、学内ではSEAMEO担当となっています。SEAMEOは東南アジア諸国連合(アセアン)の教育・社会・自然科学分野の下部機関であり、加盟国は11カ国です。加盟各国に研究開発部門・研修部門をもつ19センターがあり、東南アジアの教育分野等の中核人材がスタッフとなっています。CRICEDは授業研究、e-textbook開発法などについて、これらのセンターと共同研究、専門家・研究者交流、国際シンポジウムの開催等を行っており、筑波大学及びCRICEDの同地域での存在は重みを増しています。またAPECについては、APECから算数数学の授業研究プロジェクト(900万円/年)を2006年から受託し、筑波大学・APEC会議を毎年実施し、21カ国の共同研究を先導しています。国際セミナーの参加者は毎回200名を超え、そのうち、外国人参加者は約150名で、国際的に著名なプロジェクトとなっています。また、分野別では近年、インクルーシブ教育との関連で「特別支援教育」のニーズが新興国では高く、SEAMEOは昨年度、新たに特殊教育センターをマレーシアに設置し、CRICEDに協力を要請しています。ドナーの教育開発援助政策についても、新興国が多国間地域組織を通して相互に教育協力・人材育成をするケースが近年、増大しており、その実態・協力形態の研究調査ニーズが高まっています。CRICEDは、以上のようなSEAMEO、APECとの地域間協力を相互互恵文脈で一層拡大する方針です。
  CRICEDは外国人研究者受入れ、国内・国際セミナーの開催等を通して、筑波大学の国際化、及び国際的に卓越した教育協力研究の蓄積に大いに貢献しており、今後はこれをさらに充実させる所存です。