日本の教育制度と教育実践
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1 Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要


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2 Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要 3
4  公民館は、戦後に設置された日本独自の社会教育施設である。1946(昭和21)年に文部次官通牒「公民館の設置運営について」によって創設が提唱された。1949(昭和24)年に制定された社会教育法において、公民館は市町村が設置する社会教育施設と規定された。
 現在、公民館は約18,000館ほどが設置されているが、設置形態、施設規模、施設設備等は一様ではない。しかし公民館の機能という点でみれば、地域の総合的な教育・文化施設として、市町村住民の集会、学習、交流のセンターとして機能している。
 公民館には、常勤または非常勤の館長、専任の主事(いわゆる公民館主事)が配置されている。市町村によっては、公民館主事に社会教育主事有資格者を充てているところもある。その他、事務職員、非常勤の社会教育指導員が配置されていることもある。
Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要  我が国における公民館総数は、2002(平成14年)度には約1万8千館となっており、市町村の公民館設置率は91.7%である。
 公民館に勤務する職員は平成14年度およそ5万8千人である。そのうち、指導系(教育)職員である公民館主事は1万9千人ほどである。
 日本の社会教育施設の中で、公民館は博物館(約1,000館)、図書館(約2,500館)の設置数よりも多い。公民館の設置数は、小学校数よりも少ないが中学校よりは多い。公民館は日本の社会教育施設のなかでもっとも地域に密着 した施設である。
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 社会教育法において公民館は市町村が設置すると規定されている。しかし、公民館の設置形態は市町村によって違いがある。小学校区ごとに設置するところもあれば、中学校区ごとのところもあるし、もっと広域的に大規模な大型公民館(1,500平米)を設置しているところもある。
 公民館の配置は1)本館並立方式(中央館-地区館並立方式)と2)中央館・分館方式に分けられる。両者の違いは、地域住民が公民館の運営に参加する制度である公民館運営審議会の設置の有無にある。本館並立方式では公民館運営審議会を各館ごとにおくことが出来るが、中央館・分館方式では中央館に公民館運営審議会をおくだけでよいことになる。地域住民の参加という点で見れば、本館並立方式の方がより多くの住民参加を保障している。
→図は『社会教育・生涯学習ハンドブック』第6版、エイデル研究所、p195より
市立の公民館
6  公民館は市町村の社会教育施設として、地域住民の集会、学習、交流にかかわるさまざまな事業を開設している。生きがいや自己実現の機会として学級・講座が開設されている。学級・講座では趣味教養型のプログラムの他、スポーツレクリエーション、日常生活に役立つ実用講座や地域理解を深めるための地域学習などが行われている。
 そのほか、公民館は地域の自主的なグループ・サークル活動の場を提供したり、地域のさまざまなイベント、集会行事の会場としても利用されている。
①大正琴講座
Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要  公民館は市町村の社会教育施設として、地域住民の集会、学習、交流にかかわるさまざまな事業を開設している。生きがいや自己実現の機会として学級・講座が開設されている。学級・講座では趣味教養型のプログラムの他、スポーツレクリエーション、日常生活に役立つ実用講座や地域理解を深めるための地域学習などが行われている。
 そのほか、公民館は地域の自主的なグループ・サークル活動の場を提供したり、地域のさまざまなイベント、集会行事の会場としても利用されている。
①遺跡見学
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 公民館は市町村の社会教育施設として、地域住民の集会、学習、交流にかかわるさまざまな事業を開設している。生きがいや自己実現の機会として学級・講座が開設されている。学級・講座では趣味教養型のプログラムの他、スポーツレクリエーション、日常生活に役立つ実用講座や地域理解を深めるための地域学習などが行われている。
 そのほか、公民館は地域の自主的なグループ・サークル活動の場を提供したり、地域のさまざまなイベント、集会行事の会場としても利用されている。
①茶道教室
 1951(昭和26)年に制定された図書館法においては、「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設と規定されている。また、法律では設置主体により図書館を2つのタイプに分けている。地方公共団体の設置する図書館を公共図書館、日本赤十字社又は民法第34条の法人の設置する図書館を私立図書館と定義している。設置数からみれば、全図書館の9割以上が公共図書館である。
 図書館に置かれる専門的職員は司書及び司書補である。
8  平成14年現在の図書館設置数は約2,700館である。そのうち、都道府県立図書館は66館である。日本の都道府県数は47であるので、平均して1.4館の都道府県立図書館が設置されていることになる。他方、市町村の数は約3,300であるので、平均すれば市町村立図書館の設置率は0.75である。この数値は約3割の町村が図書館未設置であることを示している。
 図書館職員数についてみると、平均すれば1館あたり約6人の職員数である。自治体のレベルごとに見ると職員数に違いがみられる。都道府県立図書館では1館あたり約30人、市立図書館では約7.6人、町村立図書館では約2.4人であった。
 日本の公共図書館の整備状況は自治体レベルで格差がみられる。
Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要 図書館の建物 9
 平成14年現在の図書館設置数は約2,700館である。そのうち、都道府県立図書館は66館である。日本の都道府県数は47であるので、平均して1.4館の都道府県立図書館が設置されていることになる。他方、市町村の数は約3,300であるので、平均すれば市町村立図書館の設置率は0.75である。この数値は約3割の町村が図書館未設置であることを示している。
 図書館職員数についてみると、平均すれば1館あたり約6人の職員数である。自治体のレベルごとに見ると職員数に違いがみられる。都道府県立図書館では1館あたり約30人、市立図書館では約7.6人、町村立図書館では約2.4人であった。
 日本の公共図書館の整備状況は自治体レベルで格差がみられる。
 図書館法で規定されているように「図書館」は図書等を収集し、地域住民が教養の向上、調査研究、レクリエーション等のために利用することを目的としている。そのため、図書館は図書等の資料を豊かに所蔵することはもちろんであるが、地域住民が快適に学習やレクリエーションができるような施設構造をもつことが必要である。
 写真は図書館内の施設。
10  図書館法で規定されているように「図書館」は図書等を収集し、地域住民が教養の向上、調査研究、レクリエーション等のために利用することを目的としている。そのため、図書館は図書等の資料を豊かに所蔵することはもちろんであるが、地域住民が快適に学習やレクリエーションができるような施設構造をもつことが必要である。
 写真では、図書館に登録した市民のボランティアグループが、図書館内の朗読室で、子どもたちに絵本を読んでいる。
Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要  1951(昭和26)年に制定された博物館法では、「博物館」とは、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関であると定義されている。
 法律によれば、公立博物館とは地方公共団体の設置する博物館であり、私立博物館は民法第34条の法人、宗教法人等が設置する博物館である。
 博物館の専門的職員が学芸員である。
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 図書館法で規定されているように「図書館」は図書等を収集し、地域住民が教養の向上、調査研究、レクリエーション等のために利用することを目的としている。そのため、図書館は図書等の資料を豊かに所蔵することはもちろんであるが、地域住民が快適に学習やレクリエーションができるような施設構造をもつことが必要である。
 また、地理的、生活条件により図書館に来ることが出来ない住民を対象にした図書館活動として、自動車図書館等のアウトリーチの事業がある。この市立図書館には2台の自動車図書館があり、約3,000冊の本を積んで市内48カ所の巡回地を、2週間に1回の割合で訪れている。
①図書の貸し出しと返却
②図書の閲覧
③コンピュータによる図書の管理
 国立博物館を除いた博物館法に登録された博物館は公立、私立あわせて2002(平成14)年現在約1,100館である。全国47都道府県に平均して約21館が設置されていることになる。
12  博物館の職員数を見ると、2002年現在で1館あたり約10人が配置されている。 Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要  自然博物館では、様々な講座を開いている。これは家族のための自然観察講座(「ホタルが生きる自然環境を見よう」)である。
①博物館の敷地内にある池を観察する。
②ホタルの講義を聴く。
③池でホタルを観察する。
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県自然博物館の建物  自然博物館は様々な講座を開いている。これは現職教員のための講座(「身近な自然を利用した総合的な理科教育」)である。
①講演、②ワークショップ(森の音を聞く)、③ワークショップ(竹炭)
14  自然博物館は様々な講座を開いている。これは子どもコースの自然観察講座(「ハコネサンショウウオの観察」)である。
①採集、②観察
Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要  社会教育主事は常勤の社会教育専門職員である。社会教育主事補は社会教育主事の職務の補助者であり、法律で決められた期間社会教育主事補の職にあり、かつ社会教育に関する科目を修得していれば社会教育主事となる資格を有する。
 1999(平成11)年現在で、社会教育主事と社会教育主事補は全国に5,265人配置されている(派遣社会教育主事を含む)。
 派遣社会教育主事は、社会教育主事未設置市町村の解消を意図して昭和49年から国庫補助としてはじまった。
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 社会教育主事は、社会教育の専門職員である。その職務は、社会教育法には、「社会教育を行う者に専門的技術的な助言と指導を与える。但し、命令及び監督をしてはならない」と規定されている。
 社会教育主事は、都道府県及び市町村の教育委員会事務局に配置され、当該自治体の社会教育計画の企画・立案、社会教育事業を進める際に他行政や地域の社会教育団体等の連絡調整の役割を担っている。
 大学で開かれた社会教育主事資格取得を目指す人のための講座
16  青少年を対象とする社会教育施設で、とくに、1970年代以降、設置数が増加した。設置主体別にみると国立と地方自治体が設置する公立施設がある。また機能別に見ると、非日常生活圏に置かれる宿泊型と日常生活圏に設置されている非宿泊型の2タイプがある。
 1959年に国立の青年の家の第1号として静岡県御殿場市に中央青年の家が設置され、現在までに13ヶ所に設置されている。また、国立少年自然の家は、1975年に高知県室戸市に室戸少年自然の家が設置され、今日までに14ヶ所に設置されている。
 開設当初の宿泊型の青年の家、少年自然の家は、集団宿泊訓練活動に重点を置いていたが、今日では、小人数のグループ・サークルや家族単位の利用を認め、生涯学習支援という観点から利用者の自主的な活動を支援する機能を強めつつある。
Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要 茨城県青年の家 17
 公立青少年施設についてみると、2002(平成14)年現在、全国に1307ヶ所に設置されている。自治体別に見ると、都道府県立213(16.3%)、市(区)立736(56.2%)、町村立346(26.5%)、組合立13(1.0%)であった。対象別・機能別に見ると少年自然の家が326(24.9%)、宿泊型青年の家223(17.1%)、非宿泊型青年の家171(13.1%)、児童文化センター105(8.0%)、その他482(36.9%)であった。 青年の家の中の設備
18  青年の家の様々なプログラム
①朝の会(ラジオ体操)
②屋外調理
③キャンドルファイアー
Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要 ①②③全国青年大会(2004年11月)
④日本青年団協議会定期大会(2004年5月)
⑤地域活動: 祭りへの参加(2003年)
⑥地域活動: 平和活動についての話し合い(2003年)
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 社会教育関係団体とは、社会教育法では「法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業をおこなうことを目的とする」団体であると規定されている。代表的な社会教育関係団体としては、PTA、文化協会、体育協会、ボーイスカウト、青年団、婦人会、スポーツ少年団などがある
 社会教育関係団体が社会教育法で規定されたのは、わが国の社会教育行政と社会教育団体との密接な関係を示している。今日では、多くの自治体が地域社会で活動している学習グループ・サークルを含む多様な社会教育団体に対する支援を行っている。
 地域社会で活動している多用な学習サークル・グループや社会教育を主な活動領域とするNPO法人も含めて、社会教育団体と社会教育行政との新たな関係づくりが求められている。
①②ボーイスカウト活動:キャンプ
③④⑤カブスカウト活動:釣り
20  この地域女性団体連絡会では、子育て支援活動として母親・連絡会会員・中学生の交流会を毎月行っている(①~⑤)。年会費1000円で、会員は108名、会費の他に物品販売で活動資金を得ている。
①午前中は、子どもを自由に遊ばせたり、会話を楽しむ。
②①の間に、昼食を準備する会員と中学生。
③昼食を終えて解散。会員以外の母親も多く参加している。
④ボランティアとして子育て支援活動を支える中学生。
⑤中学生を地域のジュニアリーダーとして育てるねらいで、町役場の社会教育主事が、①の前に中学生に話をしている。
Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要  社会通信教育を開設しようとする実施団体(学校又は社団法人、財団法人等の非営利団体である公益法人)は、文部科学省に認定の申請を行います。申請を受けた文部科学省では通信教育事業を継続できるだけの資産があること、教材の内容や添削指導が適切であることを、相当数の学習指導者が設置されていることなどについて審査し、社会教育上奨励すべきと判断された通信講座を 認定している。 21
 社会教育法に規定されている通信教育は、「通信の方法により一定の教育計画の下に、教材、補助教材等を受講者に送付し、これに基き、設問解答、添削指導、質疑応答等を行う教育」(社会教育法第50条)である。
 通信の方法としては、郵送のほか、ファクシミリ、コンピューター通信、放送等、多様なメディアが使われている。このような多様な通信手段を活用することで、印刷教材に限らず、カセットテープやディスク等の映像・音声教材の効果的活用が求められている。また、社会通信教育の学習成果の評価方法として技能審査事業や学校や職業訓練機関との連携を密にすることが求められている。(社会教育審議会社会通信教育分科会「新しい時代に向けての社会通信教育の在り方」1988年4月)
 社会通信教育の講座には、1)資格、2)ビジネス、3)趣味・語学、4)教養、の4コースがある。
 この学校法人が実施する専攻科社会福祉コースには、自宅学習・スクーリング・実践学習が含まれ、2年でコースを修了する。コースを修了すると、介護福祉士の受験資格が得られる。募集人員は、毎年2千名で、これまで、21,600人が社会福祉コースを修了している。
①社会福祉コースのスクーリング:社会教育概論(2004年11月)
②介護実習
22  近年、我が国においては、自由時間の増大や生活水準の向上などに伴い、国民の間にスポーツに対する関心が高まり、日常生活の中でスポーツに親しむ人が増加している。文部科学省では、2000(平成12)年9月に策定された「スポーツ振興基本計画」に基づき、2001(平成13)年度から10年計画で、 国際競技力の向上、学校体育の充実とならんで、国民の誰もが身近にスポーツに 親しむことができる生涯スポーツ社会の実現に向けた地域におけるスポーツ環境の 整備充実に取り組んでいる。近年、人々が身近にスポーツに親しむことができる 場としての総合型地域スポーツクラブや広域スポーツセンターの育成・定着を支援 することをはじめ、スポーツ指導者の養成、スポーツイベントの開催等スポーツの 振興のための施策に力を入れて取り組んでいる。 Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要  第12回つくば市低学年サッカー大会(主催つくば市体育協会つくば市スポーツ少年団、場所:つくば市運動公園多目的広場)
①練習、②家族の応援、③試合
 グラウンドの使用料は、2時間で3,000円。つくば市に登録されたスポーツクラブの数。
野球(19クラブ・434名)
サッカー(20クラブ・969名)
柔道(4クラブ・71名)
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県の公園
①多目的広場
②体育館
③野球場
④屋内プール
⑤テニスコート
第5回つくば少年柔道大会(後援:つくば市教育委員会・筑波大学柔道部、場所:筑波大学武道館)
①開会式。
②③④試合。
24  近年、都市部を中心に、新聞社、放送会社、デパートなどの民間会社がカルチャーセンターを開設し、教育・文化・スポーツ事業を有料で一般市民に提供している。カルチャーセンターなどの民間営利社会教育事業は、柔軟な発想による多様で創意にあふれる学習の機会を提供している。地域による程度の違いはあるものの、民間営利教育事業者は住民の多様な生涯学習活動を支える上で極めて大きな役割を果たしている。
 こうした状況をふまえ、文部省は1995(平成7)年9月に「社会教育法における民間営利社会教育事業者に関する解釈について」という生涯学習局長通達に おいて、社会教育法第2条の「社会教育」には、民間の事業者の行う組織的な教育活動も含まれるという見解を示し、 公民館が民間営利社会教育事業者に対して施設使用を認めることを容認した。
Ⅲ 日本の社会教育の概要 Ⅲ 日本の社会教育の概要 ①子どものアトリエ講座
②フラメンコ講座
③町中にあるセンターの建物:このカルチャーセンターは新聞社が経営している
④受付:一つの講座は3ヶ月で修了する。このセンターでは約1000人が受講している。受講者は8割以上が女性、年齢が高くなるほど男性の割合が増える。講師も7割が女性である。
⑤講座のパンフレット:資格取得・語学・楽器・舞踊・健康・料理・教養・趣味に関する230講座が 準備されている
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