懲戒のうち退学・停学・訓告の3種類については校長がこれを行う。これらは一般に処分行為としての懲戒といわれる。懲戒にはこれらの他に叱責、起立、罰当番などの事実行為としての懲戒があり、これらは教員も当たることができる。また、学校単位で自主的に定める懲戒処分が見られる。例えば除籍、放校等は実質的に退学に準ずる懲戒処分とみなされるが、謹慎など生徒本人の同意の下で生徒指導上の措置として行われる場合、懲戒処分に当たらないとされることもある。「懲戒処分として行うならば手続き保障その他の要件が必要であり、生活指導措置として行うならば、本人の自由意志による承諾とそれを保障する手続きが必要になる」(坂本秀夫『生徒懲戒の研究』学陽書房、1983)との指摘がある。教員の懲戒権の及ぶ範囲は自分の勤務している学校の児童・生徒であり、基本的には直接授業を担当しているか否かに関わりなく懲戒権の行使が及ぶものとされている。ただし、そのための前提として学校としての児童・生徒指導体制が確立しており、児童・生徒の正確や健康状態などについて教員の間に深い共通理解があることが重要である。退学と停学の処分には適用制限があり、退学は、公立学校に在籍する学齢児童に対してこれを行うことができず、停学は、学齢児童・生徒に対して行うことができない。
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