CRICED University of Tsukuba

筑波大学教育開発国際協力研究センター Center for Research on International Cooperation in Educational Development

速報つくば掲載記事(平成18年)

第23号
(平成18年12月27日
通巻1138号)

筑波大学・アジア太平洋経済協力国際会議公開シンポジウムの開催

   12月3日・4日、文部科学省・北海道教育大学共催による筑波大学・アジア太平洋経済協力 (APEC)国際会議「授業研究による算数・数学教育の革新(Ⅱ)」公開シンポジウムが 国際協力研修所国際会議場(東京)及び札幌国際交流会館ホール(札幌)にて開催されました。 世界19カ国より外国人37名を含む149名が参加しました。知識基盤社会における持続可能な発展に 不可欠な「算数・数学的な考え方の育成」を主題に4名の基調講演、3名の講演、2件のパネルセッションが設けられ、世界の研究基準が確認されました。

東京セッション開会式:写真右から辻中豊学長特別補佐、小野幸嗣文科省国際課課長、 石原伸一JICA人間開発部基礎教育第二チーム長、清水静海日本数学教育学会副会長・東京セッション実行委員長  
 
 基礎講演者Kaye Stacyメルボルン大学教授(左上)、David Tallワーヴィック大学名誉教授(左下)、片桐重男元横浜国立大学教授(中央)、  林福来台湾師範大教授(右上)。大久保和義北海道教育大学学長特別補佐・札幌セッション実行委員長(右下)  

筑波大学・アジア太平洋経済協力国際会議人材養成プロジェクト算数・数学教育専門家会合の実施

  筑波大学・アジア太平洋経済協力(APEC)国際会議「授業研究による算数・数学教育の革新(Ⅱ)」(代表:礒田正美人間総合化学研究科助教授)の専門家会合が12月5日―7日、JICA札幌国際センターで行われました。本会議はアジア太平洋経済協力(APEC)人材養成部会プロジェクトとして、小学校における算数・数学的な考え方の育成方法を開発する共同研究を企画することを目的に進められました。日本側を含め世界19カ国40名の専門家が、各国で授業研究を推進することで 合意しました。札幌市内小学校で行われた公開授業では、授業研究を通して理論構築を行ってきた日本の教育研究の実質性・具体性が、海外の参加者から高く評価されました。

各国からの専門家
 
 
   授業参観し数学的な考え方の育成方法を探る専門家

公開授業研究会を実施
―附属小学校―

  12月2日、筑波大学・アジア太平洋経済協力(APEC)国際会議「授業研究による算数・数学教育の革新(Ⅱ)) の一貫として、附属小学校算数部では同時通訳付き公開授業研究会を実施しました。 授業参観後「算数・数学的な考え方の育成」について海外の参加者を交えて協議会と講演がありました。 海外の研究者・日本の教育関係者など155名の参加があり、授業について熱心な討議がなされました。

左:盛山隆雄教諭による2年生の「数と図形」
右:細水保宏教諭による5年生の「円の面積」授業
第21号
(平成18年11月30日
通巻1136号)

文部科学省・筑波大学国際教育協力シンポジウム
「開発途上国における派遣現職教員の活躍―帰国隊員報告会―」の開催

  本シンポジウムでは、現職教員特別参加制度により青年海外協力隊隊員として派遣された現職教員の優れた活躍を紹介すると共に、開発途上国派遣の今後の展開への課題を探っていきます。
日時:平成19年1月7日(日)10:00~17:00
会場:JICA国際協力機構国際協力総合研修所(東京、市谷)
プログラム1 青年海外協力隊派遣の重要性
  •     ・文部科学省
  •     ・国際協力機構
プログラム2 派遣現職教員の活躍
  •     ・派遣現職教員による任地での活動報告
プログラム3 帰国後の活動と共同
  •     ・派遣経験を生かした教育活動事例報告
  •     ・「インターネットライブ授業」の報告
プログラム4 派遣現職教員支援活動の紹介
  •     ・教育開発国際協力研究センター
主催:文部科学省、筑波大学
共催:国際協力機構(JICA)
事務局:教育開発国際協力研究センター(CRICED)
http://www.criced.tsukuba.ac.jp/jocv/2007/  TEL.6573
第20号
(平成18年11月15日
通巻1135号)

ニカラグア,エルサルバドルに派遣

  附属小学校算数部と教育開発国際協力研究センターでは,国際協力機構JICAによる 中米5カ国広域「算数大好き」プロジェクトを推進しています。その一環として, 10月7日から22日まで,山本良和教諭は, ニカラグア,エルサルバドルの教育省調 査官関係者,師範学校関係者に対する教 材開発指導及びそれに必要な学習指導法 を指導するために,両国へ短期専門家と して派遣されました。両国の算数指導法 改善,教科書・指導書開発,そしてその 活用法に対する具体的な示唆を与えるこ とができました。

ニカラグア国チナンデガ 県イサベル・リサーノ小 学校で公開授業をする山 本良和教諭
第19号
(平成18年11月1日
通巻1134号)

附属小学校算数部と教育開発国際協力研究センターが共同してチリで算数授業研究会を実施

   教育開発国際協力研究センターでは,文部科学省・国際協力機構に協力し,チリ教育省・国立教育研究所とチリ国内15大学に対する算数・数学科教師教育プロジェクト並びに連携融合事業を推進しています。その一環として,10月9日~16日,チリ国内,サンチャゴ大学,パルパライソ・カトリック大学,テムコ・カトリック大学で,授業研究会を実施しました。授業研究会は,各大学関係者・地域の教育関係者等が参加して,各大学の講堂で行われました。日本の授業研究を紹介する講演,演壇で実際の授業を行う公開授業,参加者からの質疑を伴う授業検討会で構成されました。通訳を介してステージ上で行われた授業でしたが,子ども,授業者,参観者が一体化し,授業後の検討会では日本の算数の指導法について活発な討議がなされました。チリ国内で初めての試みでしたが,3会場で総計1,100人を越える参加者を得ました。各大学からは今後の協力関係の申し入れが相次ぎ,来年もチリ教育省と共同して授業研究会を継続実施することになりました。

チリの公立学校6年生40名を 対象に,テムコ大学講堂ステ ージ上で500人を越える参観 者を得て実施された公開授業 (授業者:細水保宏教諭)

礒田正美助教授,清水静海助教授が日本政府提案によるアジア・太平洋経済協力(APEC)プロジェクトを受託

   礒田正美助教授(教育開発国際協力研究センター)・清水静海助教授(人間総合科学研究科,学校教育学専攻)は,日本政府・タイ政府共同提案による2007年アジア・太平洋経済協力(APEC)プロジェクト「異文化間における数学の教授と学習の革新のための共同研究(II)」を受託しました。APECでは,「持続可能な発展」と「知識基盤社会への対応」を進めるために情報教育,数学教育・理科教育,英語(第二外国語)教育,教育経営を教育分野の主要改善課題に掲げています。その中の数学教育課題を,このプロジェクトが推進することになります。 昨年度,礒田助教授と清水助教授はこの主題に対する同名の試行プロジェクトをタイ・コンケン大学と共同受託し成功させました。その成功をふまえて,今後4年間のプロジェクトの実施計画がAPEC人材養成部会で承認され(5月),特に2007年度分のプロジェクト経費がAPEC財務委員会(10月)で承認されました。プロジェクトはAPEC加盟21エコノミー(香港を含む) における算数・数学教育の質の改善を進めるために,本学に起源する「授業研究」を中核にして展開されます。2007年度のプロジェクトは,2006年12月3日-7日に東京・札幌で開催される筑波大学・アジア太平洋経済協力国際会議「授業研究による算数数学教育の革新」より開始されます。

礒田助教授            清水助教授
第16号
(平成18年9月21日
通巻1131号)

筑波大学・アジア太平洋経済協力(APEC)プロジェクト「授業研究による数学教育の革新」の一環として附属小学校算数部がタイで授業研究会を実施

   筑波大学・アジア太平洋経済協力プロジェクト(代表者:礒田正美助教授・教育開発国際協力研究センター,清水静海助教授・人間総合科学研究科)の一環として,筑波大学附属小学校算数部教員6名は,8月24日-27日,タイ国内で算数授業研究会を実施しました。同プロジェクトは,アジア太平洋経済協力(APEC)における理数系の教育改善を推進するために,日本・タイ政府共同提案により筑波大学・コンケン大学が実施しています。 授業研究会は,8月24日,本学と交流協定を結ぶタイ東北部コンケン大学で265名の参加者を得て実施されました。続く,8月25日には,バンコク市内スリナカリン・ ウイロット大学で148名の参加者を得て実施されました。両日とも,附属小学校算数部6名は日タイ通 訳を介して,公開授業 と検討会,講演を行い ました。公開授業後の 検討会で忌憚なくなさ れる白熱した議論が教 育の質の改善を進める 上で非常に参考になっ たと,タイの先生方から歓迎されました。成果は,日本とタイの教育雑誌で特集されます。 授業研究会の成果を踏まえ,本プロジェクトでは,本年12月,筑波大学主催APEC国際会議を東京と札幌を会場に開催します。

タイ側APECプロジェクト関 係者と筑波大学関係者(左 から:Maitree Inprashita数 学研究所長,4人目坪田耕三 附属小学校副校長,5人目 Suladda Loipha教育学部長)

グアテマラ教育大臣一行が学長表敬

   9月14日,グアテマラ教育省Maria del Carmen Acena de Funtes大臣とArturo Duarte駐日大使が岩崎洋一学長を表敬し筑波大学との国際協力について懇談しまし た。懇談では,学長より明治5年の師範学校設立以来の本学の発展史が説明され, 谷川彰英附属学校教育局教育長より附属学校の使命と国際協力体制が,辻中豊学長 特別補佐より大学間交流協定・留学生受入状況が説明されました。グアテマラ教育 大臣からは,国際協力機構に協力し本学が進めるグアテマラ国算数指導力向上プロ ジェクト(通称「グアテマティカ」)に対する本学の協力に対する謝意が述べられ, 筑波大学の支援により同国の教育の質を改善したい旨の表敬目的が述べられるとと もに,グアテマラと本学との学術交流の推進が提案されました。学長からは教育開 発国際協力研究センターと附属小学校を窓口に交流を推進したい旨の回答が述べら れました。表敬後,一行は,教育開発国際協力研究センターを訪問し,算数指導力 向上プロジェクトを推進する礒田正美助教授と教育省高官研修を担当する佐藤真理子助教授等と,今後の教育協力の推進について打ち合わせを行いました。

写真左から辻中学長特別補佐,谷川教育長, 岩崎学長, Maria del Carmen Acena de Funtesグアテマラ教育大臣,Arturo Duarte駐日大使
第15号
(平成18年9月6日
通巻1130号)

数学教育・情報教育におけるボスニア・ヘルツェゴヴィナ国との協力
-教育開発国際協力研究センター(CRICED)連携融合事業-

  教育開発国際協力研究センター(CRICED)では,7月24日~30日,国際協力機構(JICA)と進める連携融合事業(5年計画2年次)の一環としてボスニア・ヘルツェゴヴィナ国よりPetar MARIC教授(バンヤルカ大学・副学長),Ivan PAVLOVIC教授(モスタル西大学経済学部長),Amer KRIVOSIJA氏(サラエボ第2高等学校教諭/サラエボ大学推薦)の3名を招聘し「第2回ボスニア・ヘルツェゴヴィナ数学・情報・ICT教育セミナー」を開催しました。 2004年よりCRICEDでは,同国の戦後復興と平和構築を目的とする数学・情報教育ICT(Information and Communication Technology)研修を,田中二郎教授(システム情報工学研究科・コンピュータサイエンス専攻長),垣花京子教授(筑波学院大学情報コミュニケーション学部・情報メディア学科長)の協力を得て実施しています。同セミナーでは,歴史・文化・社会的相異に起源する民族問題の解決と戦後復興を進める同国において,民族問題の影響のないICT分野での民族間共同研究戦略が効果的であることが確認されました。また,連携融合事業において,本学とのラーニングマネジメントシステムや教育用フリーソフトウエア等によるICT教育における共同研究を推進することが約束されました。

3大学関係者は辻中豊学長特別補佐(国際担当/写真中央)を表敬し,本学との部局間交流協定締結を提案しました。 右から3番目は本事業を担当する礒田正美助教授(CRICED)。
第13号
(平成18年7月5日
通巻1128号)

JICA研修員が辻中豊学長特別補佐を表敬訪問
-教育開発国際協力研究センター-

  教育開発国際協力研究センター(CRICED)では,平成13年から独立行政法人国際協力機構(JICA)によるホンジュラス国算数指導力向上プロジェクトに協力し,その成果は外務省のODA白書に日本の協力の代表例として紹介されるなど,高い評価を受けています。日本の算数教育経験を生かし,指導書・教科書を開発し,授業研究という日本型教員研修方法を普及するホンジュラス国算数指導力向上プロジェクトPhaseⅠが世界的にも高く評価された実績をふまえ,JICAでは同プロジェクトを中米4ヵ国エルサルバドル,ニカラグア,ドミニカ,グアテマラへ拡大しました。その一環として同5か国教育省の算数科調査官等18名が今回来学しました。研修は,6月12日より4週間実施されます。初日に研修員は,辻中豊学長特別補佐(国際連携)を表敬訪問し,今後も筑波大学がJICAと連携して算数・数学プロジェクトを推進することが確認されました。その後,研修員18名は,附属小学校算数部及び筑波大学で研修を受講し,プロジェクトの詳細について,プロジェクトを担当する礒田正美助教授(人間総合科学研究科)等と協議しました。 県内からは,茨 城県教員研修セ ンター,つくば 市教育委員会, つくば市立二の 宮小学校,龍ヶ 崎市教育委員会, 龍ヶ崎市立久保 台小学校から支 援がありました。

上段右から6番目辻中豊学長特別 補佐,10番目都築智国際課長,前 段右端礒田正美助教授

南米10カ国のJICA研修員が日本の教育関係機関を視察

  6月11日から6月24日まで独立行政法人国際協力機構(JICA)平成18年度地域別研修「日本の教育経験」の研修員10名(ベリーズ,コロンビア,コスタリカ,ドミニカ共和国,エルサルバドル,グアテマラ,ホンジュラス,ニカラグア,パナマ,ペル ー)が来日しました。今回来日した研修員は教育省副大臣,及び中央行政機関の教育局長等で,教育開発国際協力研究センターの佐藤眞理子助教授,磯田正美助教授,人間総合科学研究科の小島弘道教授が,アカデミックアドバイザーをつとめました。 地域別研修の第一の目的は,日本の教育システム(教育の歴史,制度,運営,教材開発など)を学んでもらうことで,文部科学省・茨城県教育庁の表敬と講義,筑波大学附属小学校・つくば市内の小・中学校の授業研究視察,国立教育政策研究所の斎藤泰雄統括研究官による講義,人間総合科学研究科浜田博文助教授・木村範子講師による講義が行われました。講義や視察では研修員から質問がつぎつぎと出され,常に予定時間を超過し,研修員の関心の深さがうかがわれました。 地域別研修の第二の目的は,研修員がそれぞれの出身国における初等・中等教育の現状を互いに共有することで,研修二日目に研修員は持参した資料を使ってそれぞれの国の教育制度や教育実施の現状を報告しました。研修最終日に,研修をもとに各国の教育システムの改善に関する発表が行われました。
第12号
(平成18年6月21日
通巻1127号)

JICA調査団としてチリ国及びボリビア国の特殊教育諸学校の実情を調査

  5月20日から6月2日まで独立行政法人国際協力機構(JICA)地域別研修「障害児教育」特別案件調査として,中田英雄教育開発国際協力研究センター長,野村勝彦附属大塚養護学校教諭,前川倫子JICA筑波業務第一チーム職員の調査団がチリ国とボリビア国を訪問しました。これは11月に本学で予定されている南米6カ国のJICA受け入れ研修の事前調査として実施されました。 チリ国では関係省庁を表敬し,我が国の障害児教育全般と附属大塚養護学校をDVDなどで紹介しました。その後サンチャゴ市内にある代表的な自閉症養護学校,盲学校,肢体不自由養護学校,統合教育を実施している小学校を見学し,子供達との歓談等が行われました。 ボリビア国でも関係省庁に我が国の障害児教育全般と附属大塚養護学校をDVDで紹介しました。統合教育を行っている学校,盲学校,聾学校,知的障害養護学校を訪問しました。 両国の教育省の担当者から本学で特殊教育や特別支援教育における指導法,職業教育,早期教育,カリキュラム,リハビリテーション,社会啓発の方法,発達検査などについて学びたいとの要望がありました。

肢体不自由養護学校の授業(チリ)


聾学校幼稚部の授業(ボリビア)
第7号
(平成18年4月5日
通巻1122号)

タイ・コンケン大学学長一行が学長を表敬し学術交流の一層の拡大について協議

  メコン川流域6カ国の中核に位置するタイ・コンケン大学からSumon Sakolcha学長,Suladda Loipha教育学部長,Maitree Inprasitha数学教育研究所長が3月10日来学し,岩崎洋一学長を表敬しました。筑波大学とコンケン大学は,アジア太平洋経済協力(APEC)人材養成ワーキンググループにおいて算数・数学教育に係る共同プロジェクトを推進しています。表敬では,引き続きAPECプロジェクトを両大学が共同推進していくことが確認されました。特に,コンケン大学側からは,基礎医学系と締結している部局間交流協定を,教育関係諸分野,日本語教育分野,情報科学分野等を含めた大学間協定へ拡大したい旨の意向が示されました。また,メコン川流域諸国の教育開発を筑波大学と共同 推進するために筑波大学側へ研究室を提供する意向が示されました。岩崎学長からは,関係組織において検討したい旨の回答がありました。一行は,太田敏子基礎医学系長,中田英雄教育開発国際協力研究センター長,大高泉教育学系長,田中二郎システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻長・情報学類長を訪問し,協定の拡大について懇談しました。

研究設備を紹介する太田敏子基礎医学系長(右)


右から,コンケン大学Inprasitha数学教育研究所長,Loipha教育学部長, Sakolcha学長,岩崎洋一学長,工藤典雄副学長(総務・企画),礒田正美助教授(人間総合科学研究科,教育開発国際協力研究センター,APECプロジェクト日本側代表者)
第6号
(平成18年3月23日
通巻1121号)

国際協力機構・筑波大学によるチリ算数数学教育プロジェクトが開始される  ―教育開発国際協力研究センター-

  教育開発国際協力研究センター(CRICED)では,文部科学省の要請により,一昨年の日本・チリ首脳会談において約束された国際協力機構(JICA)によるチリ国算数数学教育プロジェクトを推進することになりました。経済発展に伴う格差増大に憂えるチリ教育省は,経済産業振興の基幹教科として算数数学科を認め,小中学校算数数学教員再教育プロジェクトを17大学に委託して実施しています。このJICAプロジェクトでは,筑波大学数学教育学研究室と附属小学校算数部,附属中学校数学科の支援を得て,教員再教育プロジェクトの質を改善します。具体的には,毎年,チリ教育省から2名,大学数学教育担当教員10名を受け入れて研修を実施します。加えて平成18年度概算要求で連携融合事業の増額も文部科学省から認められ,筑波大学として算数数学教員再教育プロジェクトに係る共同研究をチリ教育省と直接進めることができるようになりました。この度,チリ算数・数学教育プロジェクト研修団が2月14日に来学し,附属小学校,附属中学校,大学において研修を1ヵ月間受けました。研修団は,3月10日に文部科学大臣を,3月14日には副学長を表敬し,日チリ首脳会談での合意をふまえ筑波大学での研修と今後の共同研究の推進への期待を述べました。このチリ協力により,筑波大学におけるJICA数学教育関連プロジェクト技術協力の推進は,1993年のフィリピン理数科教員研修プロジェクト以来,7ヵ国目になります

工藤典雄副学長(総務・企画:国際連携担当)を囲むチリ研修団一行  左端はこのプロジェクトを担当する礒田正美助教授(人間総合科学研究科,  CRICED),同3人目から右にNAVARRO国立教育研究所プロジェクトコーディネータ,工藤典雄副学長,VENEGAS教育省数学調査官
第5号
(平成18年3月8日
通巻1120号)

第3回国際教育協力日本フォーラム及び平成17年度文部科学省国際教育協力拠点システム構築事業国内報告会が開催される  -教育開発国際協力研究センター-

  筑波大学は,平成17年度文部科学省拠点システム構築事業の一環として,第3回国際教育協力日本フォーラム(Japan Education Forum III)及び平成17年度文部科学省拠点システム構築事業国内報告会を,2月9,10日に学術総合センター(一橋記念講堂)で開催しました。 9日は,文部科学省,外務省,広島大学との共催で第3回国際教育協力日本フォーラムを開催しました(参加者約230名)。第1回,第2回に続き,「自立的教育開発に向けた国際協力」を基調テーマとしつつ,「教員の質の向上」に焦点を当てて進められました。渡辺利夫拓殖大学長から「ODA戦略から見た教育協力」について,アト・エスマンガーナ共和国教育スポーツ省次官から「途上国における教育開発の課題と国際協力」について基調講演がありました。ガーナ,インドネシア,フィリピン及びユネスコの関係者が教員の質の向上について報告し,日本関係者及び参加者とともに討論を繰り広げました。教員の待遇改善と,教員養成・教員研修のプログラム,これら両者へのコミットメントが今後の課題とされました。 10日は,文部科学省,広島大学との共催で拠点システム構築事業国内報告会が開催されました(参加者約160名)。「国際教育協力における新たな分野の可能性」を主題とし,拠点システム構築事業の学校保健(大妻女子大学),障害児教育(筑波大学),環境教育教員研修(東京学芸大学),環境教育実践事例(宮城教育大学),幼児教育(お茶の水女子大学),家庭科教育(日本女子大学)の各課題代表者が全体 会で報告し,討議しました。討議では,国際教育協力の活動が一時的なものではなく,いかに日本の教育経験を持続的に活かすことができるかについて討論が進められました。その他の課題(10課題)については,2つの分科会(「協力政策・手法を中心に」と「学校経営・教科・実践事例を中心に」)に分かれ,平成17年度の活動と成果を報告しました。

井上正幸文部科学省国際統括官の挨拶


JEF IIIにおけるパネル討論: 左から黒田則博広島大学教授,ファリス・ジャラルインドネシア国家教育省教職員資質向上総局長,マール・タンフィリピン大学国立理数科教育開発研究所所長,フランソワーズ・カイヨユネスコ国際教育計画研究所次長,アト・エスマンガーナ共和国教育スポーツ省次官,潮木守一桜美林大学教授
第4号
(平成18年2月22日
通巻1119号)

アフガニスタン指導的女子教育者一行が来学-教育開発国際協力研究センター-

   教育開発国際協力研究センターは,文部科学省の依頼により,2月6日(月)に「アフガニスタン指導的女子教育者」の一行を受入れました。一行はカンバッハシ・カウカバ校長(ナヒード マハロ高校)を代表とする女性の -教育開発国際  協力研究センター- 校長,副校長,教頭の計10名でした。今回の研修は五女子大学コンソーシアムによるアフガニスタン女子教育支援プログラムの一環として実施され,本学が協力したものです。一行は工藤典雄副学長(総務・企画)を表敬訪問した後,教育開発国際協力研究センターと農林技術センターを見学しました。教育開発国際協力研究センターでは,中田英雄センター長が日本の障害児教育を,佐藤眞理子助教授(人間総合科学研究科,同センター)が日本の教育の概要を紹介しました。中田センター長及び佐藤助教授は,JICAの短期専門家としてアフガニスタンでの教育協力の経験があり,同センターではアフガニスタンの教育協力を継続して行っています。農林技術センターでは,田島淳史助教授(生命環境科学研究科)から熱帯性植物や蘭の説明を聞きました。五女子大学コンソーシアムとは,お茶の水女子大学,津田塾大学,東京女子大学, 奈良女子大学及び日本女子大学により結成され,アフガニスタン女子教育支援プログラムにより受入れ研修,専門家派遣,大学間交流協定の締結などの活動を行っています。教育開発国際協力研究センターは今後とも五女子大学コンソーシアムと連携しつつ,アフガニスタンへの教育協力を推進してまいります。

工藤典雄副学長(左)とカンバッハシ・カウカバ校長


田島淳史助教授の蘭の説明(農林技術センター)
第03号
(平成18年2月8日
通巻1118号)

国際協力企画シンポジウム「算数・数学プロジェクトにおけるよい授業と数学的識字力の向上-教育の質の改善-」が開催される  -教育開発国際協力研究センター-

  教育開発国際協力研究センター(CRICED)は,筑波大学・アジア太平洋経済協力(APEC)国際会議の一環として左記シンポジウムを, 1月15日,国際協力機構・国際総合研修所・国際会議場で開催しました。このシンポジウムは,文部科学省拠点システム事業「算数・数学課題」 (代表:礒田正美助教授(教育 開発国際協力研究センター))が例年実施するシンポジウムを拡大したもので,「万人のための教育」における主要課題である 「数学的識字力の育成」方策を日本の協力経験を基礎に探る目的で行われました。シンポジウムは,生きるために必要な数学的識字力を提唱する OECD-PISA専門家会議Jan de Lange議長による講演で開始され,本学からは清水静海助教授(人間総合科学研究科(教育))が教育の質の改善方策として 本学に起源する「授業研究」を解説しました。数学的識字力育成パネルでは,海外からの招聘者によるJICA算数・数学教育改善プロジェクトの成果が披露された上で, よい授業を生み出す授業研究への課題が示されました。世界20カ国から38名の海外参加者も含めて,226名の参加がありました。

左上:求められる数学的識字力についてLange氏と討議する参加者
右上:明治5年の師範学校,附属小学校以来の授業研究史について講演する清水静海助教授
下:各国JICA算数数学プロジェクトにおけるよい実践と授業研究パネル

筑波大学・アジア太平洋経済協力(APEC)国際会議「授業研究による算数数学教育の革新」シンポジウムが開催される -教育開発国際協力研究センター-

  筑波大学は,文部科学省・国際協力機構共催,外務省後援による筑波大学・アジア太平洋経済協力(APEC)国際会議 「授業研究による算数数学教育の革新」シンポジウムを,1月16日国際協力機構の国際総合研修所国際会議場にて開催しました。(組織委員長:礒田正美助教授)開会に際して, 岩崎洋一学長からは,本学におけるAPEC研究センターの活動,本学が明治以来推進してきた授業研究の歩み,本学の数学教育分野が過去20年間に世界で果してきた先導的役割に触れ, 本会議の成功を期待する旨の挨拶井 上正幸文部科学省国際統括官は,2004年APEC教育大臣会合において経済産業の基盤である数学・理科へ主題が焦点化された経緯と最近のICT利用教育 の 重要性に触れた挨拶がありました。基調講演では,米国における代表的研究者であり,附属小学校とも共同研究を進めてきたCatherine Lewis教授が日本型授業研究の米国における 展開を述べました。続いて,香港,韓国,タイ,日本の研究者から授業研究を通して生み出されたよい授業についての講演があり,全体討論では,よい授業の条件が議論されました。 平日にも関わらず海外からの参加者38名を含め157名の参加者がありました。

左上:主催者挨拶をする岩崎洋一学長
左下:APECの役割をスピーチする文部科学省井上正幸国際統括官
右上:日本型授業研究を米国で推進する様子をVTRで紹介するLewis氏
右下:Lewis氏に質問する海外からの参加者

アジア太平洋経済協力(APEC)人材養成プロジェクトに係る算数数学教育専門家会合が開催される -教育開発国際協力研究センター-

   筑波大学・アジア太平洋経済協力(APEC)国際会議は,専門家会合を1月16~20日に東京キャンパスの国際協力機構国際総合研修所で開催しました。この専門家会合は,2004年にチリで開催された第3回APEC教育大臣会合の中で定められた研究主題の一つ「算数・数学教育と理科教育の活性化」に対するAPEC人材養成ワーキンググループ教育ネットワーク内プロジェクトである「異文化間における 数学の教授と学習の革新のための共同研究」(日タイ共同研究・日本側代表者:礒田正美助教授,清水静海助教授)の一環として行われたものです。会合では,日本型授業研究を各国で推進したVTR記録も含めた研究成果を本年6月に実施されるタイ・コンケン大学の専門家会合で発表することが合意されました。

授業研究について発表討議したAPEC専門家会合参加者(海外17ヵ国29名,国内3名)

筑波大学・アジア太平洋経済協力(APEC)国際会議「授業研究による算数数学教育の革新」シンポジウムが開催される -教育開発国際協力研究センター-

  教育開発国際協力研究センター(CRICED)は,筑波大学・アジア太平洋経済協力(APEC)国際会議の一環として左記シンポジウムを, 1月15日,国際協力機構・国際総合研修所・国際会議場で開催しました。このシンポジウムは,文部科学省拠点システム事業「算数・数学課題」 (代表:礒田正美助教授(教育 開発国際協力研究センター))が例年実施するシンポジウムを拡大したもので,「万人のための教育」における主要課題である 「数学的識字力の育成」方策を日本の協力経験を基礎に探る目的で行われました。シンポジウムは,生きるために必要な数学的識字力を提唱する OECD-PISA専門家会議Jan de Lange議長による講演で開始され,本学からは清水静海助教授(人間総合科学研究科(教育))が教育の質の改善方策として 本学に起源する「授業研究」を解説しました。数学的識字力育成パネルでは,海外からの招聘者によるJICA算数・数学教育改善プロジェクトの成果が披露された上で, よい授業を生み出す授業研究への課題が示されました。世界20カ国から38名の海外参加者も含めて,226名の参加がありました。

左:附属小学校講堂で行われた研究授業と参加者  右:附属中学校講堂で行われた研究授業後の検討会で助言する文部科学省初等中等教育局永田潤一郎教科調査官
第2号
(平成18年1月25日
通巻1117号)

平成17年度文部科学省・筑波大学国際教育協力シンポジウム「開発途上国における派遣現職教員の活躍」-帰国隊員報告会-が開催される -文部科学省・筑波大学主催国際協力機構(JICA)協力-

   筑波大学は,文部科学省とともに,国際協力機構(JICA)の協力を得て, 青年海外協力隊派遣現職教員支援制度にかかるシンポジウム「開発途上国における派遣現職教員の活躍」を,1月7日に一橋記念講堂にて開催しました。 教育開発国際協力研究センター(CRICED),文部科学省国際教育協力のための拠点システム事業「派遣現職教員支援課題」(代表:礒田正美助教授(人間総合科学研究科))の もとで実施された今回のシンポジウムには,平成18年度に途上国へ派遣される派遣現職教員25名をはじめ,教育関係者,国際協力関係者171名が参加しました。   シンポジウムでは,文部科学省初等中等教育局国際教育課課長補佐齋藤晶子氏による講演「国際教育の推進」の後,4分科会(アジア,中南米,アフリカ,大洋 州・欧州)に 分かれての派遣現職教員による任地での活動報告,帰国後の派遣経験を生かした教育活動事例報告,拠点システム事業「派遣現職教員支援課題」の紹介が行われました。   また,文部科学省国際統括官井上正幸氏は挨拶の中で,青年海外協力隊文部科学省現職教員特別参加制度の意義を述べました。協力機関である国際協力機構理事松岡和久氏は JICAとしての学校教育分野における派遣の拡大の必要を述べました。主催者として,油田信一副学長(研究)は,派遣現職教員の活躍を称え,本学の国際貢献・社会貢献事業の一環として 派遣現職教員支援課題を推進することの大切さを述べました。
青年海外協力隊現職教員特別参加制度の意義を述べる井上正幸文部科学省国際統括官
青年海外協力隊現職教員特別参加制度の意義を述べる井上正幸文部科学省国際統括官