CRICED University of Tsukuba

筑波大学教育開発国際協力研究センター Center for Research on International Cooperation in Educational Development

速報つくば掲載記事(平成19年)

第23号
(平成19年12月27日
通巻1161号)

ボリビアの知的障害特別支援学校で初の授業研究会を開催
―付属久里浜特別支援学校―

  11月23日~12月6日、ボリビアで行われたJICA地域別研修「障害児教育」在外補完研修に、教育開発国際協力研究センター長の中田英雄教授が JICA専門家として参加し、付属久里浜特別支援学校の佐藤匡仁教諭が公開共同授業担当者として派遣されました。 この研修は、JICA筑波がボリビア、チリ、ペルー3カ国における障害児教育の質の向上を目的として取り組んでいるプログラムです。 中田センター長は、日本の障害児教育・教師教育について講義し、ボリビア、チリ、ペルー3カ国の研修員の計画したアクション・プランについて助言しました。 佐藤教諭は、サンタクルス県PREEFA知的障害特別支援学校において、小学部4年生12名を対象に、当校の教諭2名とチーム・ティーチングを組んで、体育の協働授業をしました。 サンタクルス県及びラパス市から約150名の教員と保護者が参加しました。授業を公開して研究協議をする習慣のないボリビアにおいて、 授業研究による教師の力量形成と、身近な材料を使った手作り教材の指導法に参観者から強い関心が寄せられました。 また、PREEFA知的障害特別支援学校の教員も初の公開授業を行いました。 日本式の公開授業の意義が関係者に理解され、ボリビア全土に普及していくことが期待されます。

ボリビアでの協働授業の様子 中央が佐藤教諭
第19号
(平成19年10月31日
通巻1157号)

チリ教育省・チリ10大学とチリ国内7都市で算数授業研究会を開催
―教育開発国際協力研究センター―

  教育開発国際協力研究センター(CRICED)はチリ教育省・チリ10大学とチリ国内7都市で算数授業研究会を開催し、チリで全国報道されました。
同センターでは、JICAとの連携融合事業の一環として、チリ教育省及びチリ10大学との共同授業研究会を10月9~16日実施しました。 算数・数学の教員要請、現職研修の改善を課題とするチリで同センターは、教員養成・現職教員研修を実施するチリ10大学教員への研修(FD)を、 附属小学校算数部・付属中学校数学科と共同して行っています。その一環として、今回チリにおける第2回公開授業研究会をチリ国内7都市で実施しました。 チリ国内ではこれまで授業参観し授業改善について語り合う機会がなく、参加者からは日本で授業研究の結果生まれた子供の活動を基盤にした指導法が優れていることが指摘されました。 来年はチリ側の授業提案も行われることになりました。各大学の学長、教育学部長をはじめ、教育学部教員、学生、現職教員、各州教育省次官、教育委員会、報道関係者など総計2300名が参加しました。 チリの新聞(基幹全国紙)2紙が「チリが注目する教育モデル:日本」としてそれぞれ一面報道し、夜のTVニュースでも全国報道されるなど全国レベルで反響を呼びました。 10月11日には、バルパライソ・カトリック大学でスペイン語版「図で見る日本の算数数学授業研究」(Isoda,Arcavi,Mena編)の出版記念会も開催されました。 日本の授業研究がラテン諸国で浸透しています。今回は附属小学校から細水保宏教諭、付属中学校から大根田裕教諭、同センターから礒田正美准教授(人間総合科学研究科) 及び林大樹技術職員が参加しました。

チリ授業研究会の様子
第18号
(平成19年10月17日
通巻1156号)

タイ教育省「日本の授業研究調査団」が谷川彰英理事・付属学校教育局教育庁を表敬

  タイ教育省関係者21名が、9月25日、付属学校教育局・付属小学校・教育開発国際協力研究センターを、同26日、付属中学校を訪問しました。 本学とタイ・コンケン大学が主催するアジア・太平洋経済協力(APEC)21カ国・地域プロジェクト「授業研究による算数・数学教育の革新」に対する国際評価をふまえ、 タイ国内に義務教育段階での授業研究を導入するためのタイ政府としての具体的な計画策定・予算処置を目的とした調査訪問でした。 25日には附属小学校で、授業参観後に田中統治校長(人間総合科学研究科)より附属小学校の役割についての詳細な解説がありました。 その後、教育相高官3名が谷川彰英理事・付属学校教育局教育庁を表敬し、タイ教育省側から本学への全教科に及ぶ授業研究にかかる支援要請がなされました。 谷川理事・教育庁より、本学が受け入れてきた教育研修留学生の実績、明治以来の教育系及び付属学校が培ってきた教育経験、そして付属学校教育局の使命を基盤に、 今後タイとの交流を一層深めたいとの返礼がなされました。その後、APECプロジェクト代表者、礒田正美准教授(人間総合科学研究科、教育開発国際協力研究センター) より日本型授業研究の特徴と、我が国が世界27カ国で行うJICA算数プロジェクトにおける授業研究実施状況と成果について解説がありました。 26日には付属中学校にて山口正副校長より付属中学校の役割について解説があり授業参観を行いました。 この一年間で、APECプロジェクトに関連して、タイから本学付属学校への「授業研究」調査訪問者は70名、本学からタイへの派遣者は22名になります。 本学の教育研究が、世界の教育の質の改善に役立てられる状況が、さらに進展していきます。

左よりChatchen Thaitaetタイ教育省視学官、石隈利紀附属学校教育局次長、谷川理事・教育庁、 Maitree Inprasithaコンケン大学準教授と調査団一行


左:附属小学校の使命を解説する田中付属小学校長
右:付属中学校で
第16号
(平19成年9月20日
通巻1154号)

アジア・太平洋経済協力プロジェクト国際会議をタイで開催

  8月16~21日、本学とタイ・コンケン大学共催のアジア・太平洋経済協力(APEC)プロジェクト「授業研究による算数・数学教育の革新」 (代表:礒田正美准教授(人間総合化学研究科、教育開発国際協力研究センター:写真上中)国際会議を、タイのコンケンで開催しました。
開会に際し、APEC人材養成部会長Alan Ginsberg氏(米国:写真上右)より、このプロジェクトは人材養成部門を代表する国際共同プロジェクトであり、 今後の人材養成部門のプロジェクト改革のモデルとして機能していることが評価され、日本(本学)に起源する「授業研究」が知識基盤社会における新しい教育研究の方法論であること、 その理論化にはKnowledge Manegement Systemの活用が重要であることが強調されました。
本学からは、清水静海准教授(人間総合化学研究科、日本数学教育学会副会長:写真上左)と礒田準教授が基調講演をし、附属小学校算数部が授業を公開しました。 今回の会議は、昨年12月に東京で開催された同名の国際会議でなされた研究計画「数学的な考え方の育成」に対する成果報告会として開催され、 600名の参加者があり、タイ以外に、APEC加盟国、ヨーロッパ及びアフリカからも48名が参加しました。
日本の算数授業は、世界の教育の質の改善のモデルとして各国から賞賛されており、このプロジェクトは我が国の教育界を代表する世界展開プロジェクトとなっています。
次回は12月8~16日、東京と金沢で「数学的コミュニケーション」を主題に開催します。


附属小学校算数部がシンガポール及びタイで授業研究会を実施

  8月13~16日、附属小学校算数部がシンガポール及びタイで授業研究会を実施しました。
附属小学校算数部6名はアジア・太平洋経済協力(APEC)プロジェクト「授業研究による算数数学教育の革新」 (代表:礒田正美准教授(人間総合化学研究科、教育開発国際協力研究センター))の一環として、 シンガポール及びタイで筑波大学主催算数授業研究会を実施しました。
シンガポールの授業研究会は、13日に英語通訳で実施しました。日本全国から22名の小学校の先生方が同行し、 参加者90名の英語によるワークショップも実施しました。授業後の協議会では、共催期間であるシンガポール国立教育研究所 関係者から日本の授業の優れた点の良い指摘が相次ぎました。
タイでは、昨年に続き、15日はバンコク(参加者80名)、16日はコンケン(同600名)で実施し、コンケンでは、 日英/日タイ語通訳も行いました。パネル方式の協議会では、日本の公立小学校の先生方から出された的を得た提案に、世界の数学教育の専門家が、 日本の算数授業の奥の深さに感心していました。
各国とも、本学の前身に起源する日本型授業研究を国内に普及させるための動向が伺え、さらに、言葉の壁を越えて優れた授業を他国で実践する 附属小学校の活動は、世界が日本の算数・数学教育に学ぶ動向を確実なものにしています。

第15号
(平成19年9月5日
通巻1153号)

第4回日本・インドネシア国際協働授業研究会で授業研究会を開催
―付属久里浜特別支援学校―

  8月5~8日、インドネシアのソロ市で、教育開発国際協力研究センターとインドネシアの国立3月11日大学等が協力し、第4回日本・インドネシア国際協働授業研究会が開催されました。
中田英雄教育開発国際協力研究センター長を中心とした日本のスタッフは、付属久里浜特別支援学校から大久保尚子教諭、佐藤匡仁教諭と馬場信明副校長が参加しました。
授業研究会では、研究授業、分科会協議会、講義等がありましたが、佐藤教諭は体育の研究授業を、大久保教諭は算数の研究授業を行いました。 参加者から一人ひとりの子どもたちを大切にした授業展開であり、内容や教材についてもとても参考になった等の言葉をいただきました。 この研究会にはインドネシア全国から200名を超える教育関係者が参加しましたが、研究授業やそのあとの分科会協議などをとおして、児童理解に基づく授業づくり、 身近な素材を利用しての子に応じた教材づくり、そして授業研究の大切さ、また、こうして出会った両国の教育関係者のネットワークの大切さを参加者それぞれが実感しました。
なお、この授業研究会は、平成19年度科学研究費補助金[基盤研究(A)](課題番号17252010)の途上国における特別支援教育開発の国際協力に関する研究の一環として実施されました。

体育の授業で風船ボールを取り入れて指導する佐藤教諭


算数の授業で指遊び歌を取り入れて指導する大久保教諭(右)
第08号
(平成19年4月18日
通巻1146号)

青年海外協力隊 現職職員特別研修を開催
―教育開発国際協力研究センター―

  4月2,3日に、文部科学省、国際協力機構(JICA)及び教育開発国際協力研究センター(CRICED)の共催のもと、「青年海外協力隊 現職職員特別研修」 が開催されました。教育開発国際協力研究センターは平成15年度から文部科学省拠点システム構築事業のもとで、青年海外協力隊現職教員特別参加制度を活用して 途上国で活躍する教員(派遣現職教員)を支援しています。現職教員特別研修はその一環として行われ、毎年高い評価を受けています。
2日は国際協力機構国際協力総合研修所にて行われ、平成19年度派遣現職全教員の84名、そして一般聴講者23名が参加しました。研修内容は文部科学省・JICAの教育協力、 青年海外協力協会による帰国後の社会還元、CRICEDによる派遣現職要因のサポートの講義、そして任務を終え帰国した元派遣現職隊員による報告が行われました。 3日は、東京キャンパスで派遣現職教員84名に対して、派遣現職教員サポートに対する拠点システム構築事業7課題の代表者が活動内容・成果を説明するとともに、ICT研修が実施されました。
CRICEDは今年度より派遣現職教員サポートに対する拠点システム構築事業7課題の調整機能を担っています。参加した派遣現職教員は、お互いに活発に交流をし、特別研修は盛況のうちに終了しました。

第06号
(平成19年3月22日
通巻1144号)

チリ教育省・大学関係者が算数授業研究を附属小学校で実施

  附属小学校では、2月26日、チリ教育省・大学関係者が算数部教員と協同して、授業研究を実施しました。 スペイン語通訳を介しての算数授業でしたが、子どもたちは楽しく授業に参加していました。 チリ教育省・大学関係者は、授業を計画し、公開し、研究協議する日本の授業研究方法を同国に導入するために、 この授業研究を実施しました。授業研究を自ら体験することで同国に導入することの効果が確認されました。

左:6年生「立体」の授業をするチリ教育省Juan Vergara Caves算数科教科調査官
右:5年生「関係」の授業をするマウルカトリック大学Maria Aravena Diaz教授

チリ教育省・5大学数学教育教員が、教育開発国際協力研究センター、附属小学校、付属中学校において研修

  チリは教育の質の改善による経済発展と社会格差の縮小を課題としています。他方で、明日の豊かな生活を築く基盤である 算数・数学の学力が、国際比較調査においてチリは最下位グループに位置しています。それは直接、初等教育教員の算数・数学学力の不足に起因しています。 そこで、チリでは小学校8年間の後期4年に算数・数学専科教員制を導入するための教員研修を実施しており、その現職教員研修の質の改善を行うための協力を日本政府に要請してきました。
文部科学省の要請のもと教育開発国際協力研究センター(CRICED)では、附属小学校算数部、付属中学校数学科と共同して、国際協力機構(JICA)によるチリの大学教員研修プロジェクトを推進しています。 チリの大学・教育省より毎年12名の教員を1か月招聘し研修を行うものです。今回、2月13日より3月14日の日程で、チリ大学を含む5大学と教育省から12名の大学数学教育担当者が来日し、文部科学省教科調査官・ 学力調査官を含む筑波大学関係者から1ヶ月間の講習を受け、チリの現職研修プログラム改善案を作成しました。

左:附属小学校算数部・算数授業研究会を参観
右:付属中学校の授業を参観


辻中豊学長特別補佐(前列右)を表敬した一行。
前列左よりチリ教育省Juan Vergara Caves算数科調査官、
チリ国立教育研究所Rodrigo of Heras Kari研修部長、
国際協力機構上田喜久理事
第03号
(平成19年2月7日
通巻1141号)

文部科学省後援「数学教育の自立的発展に向けた国際協力のあり方」シンポジウムを開催

  教育開発国際協力研究センター(CRICED)は、広島大学国際協力研究科・教育学研究科と「数学教育の自立的発展に向けた国際協力のあり方」 シンポジウムを1月14日に開催しました(参加者83名、内海外からの参加者13名)。本シンポジウムは、平成15~17年度文部科学省拠点システム事業「数学課題」を 実施したCRICEDが、世界27カ国で展開されるJICA算数・数学教育プロジェクトを推進する大学の数学教育研究者等と例年1月に企画するもので、今回が4年目になります。 過去3回は識字教育の立場からNumeracyを主題に実施されました。本年度はその成果を踏まえて表記主題が設定され、ガーナ、ザンビア、バングラディッシュ、タイ、フィリピン、中国における 教師の指導法・生徒の学力を都市部・農村部で比較した国際共同研究成果が海外からの招聘者等によって報告されました。農村部が都市部より学力が高いケース、農村部の方が指導法改善に熱心なケース、 民族語で育った子供が算数で使う英語がわからないケース等が話題にされました。最後に国内関係者を交えて研究主題に対する協議が行われ、今後の研究継続が約束されました。

左上:来賓挨拶をする文部科学省国際課佐々木邦彦開発協力推進専門官
左下:国際協力機構石原伸一基礎教育チーム長
右:基調講演をするNormaPresmg米国・イリノイ大学教授
第02号
(平成19年1月24日
通巻1140号)

国際協力シンポジウムを開催

  教育開発国際協力研究センター(CRICED)は、文部科学省・筑波大学主催、国際協力機構(JICA)共催による国際教育協力シンポジウム 「開発途上国における派遣現職教員の活躍」-帰国隊員報告会-を、1月7日、JICA国際協力総合研修所・国際会議場(市谷)で実施しました。  CRICEDは、文部科学省拠点システム・国際協力イニシアチブ事業の一環として、青年海外協力隊に派遣される現職教員に対するサポートの とりまとめを行っています。その一環として、青年海外協力隊に派遣された現職職員の帰国報告会を中核とするシンポジウムを例年1月に実施しています。
CRICEDによる派遣現職教員の支援活動も今年で4年目を迎え支援内容も年を重ねる毎に充実してきました。今回が第3回目となる帰国報告会では、 派遣中・派遣後の活動を主題に19名の帰国隊員から活動報告が行われました。現職教員の場合、帰国後、教職に復帰します。 派遣中の途上国における活躍は言うまでもないことですが、特に今年度の報告会では、帰国後、派遣経験を活かした教育活動内容の展開においてすばらしい 活躍ぶりが報告されました。シンポジウムには、全国から206名の参加者があり、その活動の意義が共有されました。 筑波大学からは学生・付属学校教員を含む33名が参加しました。

挨拶する渡辺一雄文部科学省国際課長