速報つくば掲載記事(平成16年)
- 第23号
(平成16年12月22日
通巻1092号)
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国際教育協力シンポジウム「算数数学教育における国際協力の課題と展望」が開催される
増大し続ける算数数学教育への協
力要請に対する展望を得るために,教育開発国
際協力研究センターは,
国際教育協力シンポジウム「算数数学教育における国際協力の課題と展望」を11月29日(月),文科系修士棟8B210室にて開催
(6ヵ国の大学・機関から52名が参加)しました。算数・数学科が経済・産業の基盤となる人材育成において必須科目であることが
確認されると同時に,各国の抱える政策的課題が明らかにされました。
- 産業・経済立国をめざすマレーシアでは,英語が使える人材育成をめざした国家政策として,
英語による算数・数学教育の導入過程にあることが指摘されました。
- ジンバブエ・チュニジアなどでは,グローバル化に対するアイデンティティ育成のために母国語による数学教育を
実施することが急務であることが指摘されました。
- EU加盟をめざすボスニアでは,教育課程をEU基準に併せて軽減する流れにあることが指摘されました。
- 国際数学理科調査で最下位群に属するチリは,人材を育成する要である教師の資質向上が課題であることが指摘されました。
- 日本では学力低下問題の背景に世界一少ない算数数学の授業時数があることが指摘され,フロアからは現状で日本の競争力が維持でき
るのか疑問が投げかけられました。
教育改善は教師と教材に起源する問題であると同時に国家政策的課題であり,国家プロジェクト立案に際して互いに学ぶべきところが多いとの認識で,今後の再
会が約束されました。

講演するチリ教育省Asenjo氏(右)と,西英通訳をするジンバブエ大学Murinda氏(JSPS外国人特別研究員)
- 第22号
(平成16年12月8日
通巻1091号)
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文部科学省大臣官房国際課国際協力政策室一行が油田副学長及び磯田副学長を表敬
教育開発国際協力研究センターの招へいにより,11月25日(木),文部科学省大臣官房国際課国際協力政策室より柳孝室長他2名の担当官が油田信一副学長(研究担当),磯田文雄副学長(財務担当)を表敬し,文部科学省の施策と本学の国
際協力のあり方について懇談しました。一行は,その後,教育開発国際協力研究センター(中田英雄センター長)を訪問し,同センターが担う国際教育協力のための中核センターとしての役割の重要性と発展への期
待を述べました。さらに,4月に新設された北アフリカ研究センター(安部征雄センター長)を訪問し,北アフリカ・中東地域における安定した社会実現へ向け
ての同センター創設の意義と役割の重要性,科学・技術・文化を基礎にした今後の発展への期待を述べました。全体会では,両センターが基礎教育から高等教育
に及ぶ学内外の研究戦略の要として機能することの重要性が述べられました。

右から文部科学省大臣官房国際課国際協力政策室荒井寛企画調査係長(専門職),金光謙一郎開発協力推進専門官,国際協力に係る文部科学省施策と本学への期待を述べる柳孝室長。それに応える油田副学長と磯田副学長
教育開発国際協力研究センター(CRICED)とタイ国数学教育研究センター(CRME)が,タイ国及びメコン川流域諸国の算数・数学教育で協力・連携
タイ王国は,タイ国内及びメコン川流域諸国における算数・数学教育の向上を目的とした数学教育研究センター(CRME)をコンケン大学に開所し(8月1日),日本の算数・数学教育の調査のために
Maitree初代数学教育研究センター長ら関係者8名を,本学CRICED,附属駒場中・高等学校,附属小学校,附属中学校及び附属大塚養護学校へ派遣してきました。CRICEDではこの訪問調査を受けて,11月14日(日)に「日タイ算数・数学教育共同研究企画会議」
を開催し,中田英雄教育開発国際協力研究センター長及び清水静海助教授(人間総合科学研究科,教育)らCRICED関係者とCRME関係者が
協議の結果,今後,タイ国及びメコン川流域の算数・数学教育において協力・連携することになりました。

右から討議するMaitree CRMEセンター長,Supochタイ大学数学教育学会長。礒田正美助教授(CRICED,左端)
小泉純一郎首相が日・チリ首脳会談でチリ国から要請を受けた算数・数学教育協力を,本学が実施
11月22日にチリ国で開催されたAPECにおいて,小泉首相がチリ国ラゴス大統領との会談の中で要請を受けた,チリ国の算数・数学教育についての協力について,本学が実施することになりました。中南米地域における算数・数学教育協力実績を持つ教育開発国際協力研究センター(CRICED)では,文部科学省の依頼により国際協力機構(JICA)筑波国際センターの支援の下に,チリ国の大学・教師教育関係者の修・専門家派遣等による教育協力を附属小学校算数部と共同して実施することになりました。これに先立ち,チリ国政府より算数・数学教育の調査官2名が油田信一副学長を表敬し,本学への協力要請をしました。油田副学長は,JICAとともに学内関係組織が国際貢献する機会として歓迎するとともに,今後のチリ国からの留学生の受入れへの期待などを述べました。

左から油田副学長,表敬するチリ国教育省Cristian REYES氏,Malva ASENJO氏,中田英雄教育開発国際協力研究センター長
- 第19号
(平成16年10月27日
通巻1088号)
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ボスニア・ヘルッエゴビナ国数学教育・情報教育ICT研修開校式が開催される
JICA(国際協力機構)によるボスニア・ヘルッエゴビナ共和国経済復興・平和構築支援事業の一環として,教育開発国際協力研究セン
ターでは,JICA筑波国際センター,電子情報学系・教育学系・附属学校,筑波女子大学の関係者と共同して11ヵ月間の数学教育・情報教育におけるICT
活用研修コースを設置しました。この度(写真左から),PJANIC Karmelita氏(サラエボ大学教育学部数学教育学),MINDOLJEVIC Valentina氏(モスタル高校数学科教員)及びPETKOVIC
Ljubomir氏(プレジェダ工業高校情報科教育)の3名が研修生として来学し,10月8日同センターにて開校式が行われました。開校式後に,英国
Open大学教育工学研究所のHossein Zand氏(写真右端)による記念講演「誰もが学べるように学芸を提供する-遠隔教育とその環境開発-」が行われました。3名の研修生は,平成17年8月まで数学教育,情報教育におけるコンテンツサイトの研究開発を進めながら,日本の教育関係者と交
流を深めます。
- 第14号
(平成16年9月1日
通巻1084号)
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アフガニスタン高等教育大臣一行が来学
8月12日,Sharif Fayezアフガニスタン移行行政機構高等教育大臣,Akbar
Popalカブール大学長,Mohammad Rawoshカブール教育大学長,
Najibullah Nazif高等教育省国際関係局長一行が,文部科学省大臣官房国際課行松泰弘国際協力政策室長とともに来学しました。
一行は,油田信一副学長,工藤典雄副学長,林史典副学長他と面会し,今後の高等教育分野におけるアフガニスタンと本学との協力について懇談した後,
学内関係組織を視察しました。
アフガニスタンへの協力を進める教育開発国際協力研究センター(中田英雄センター長)では,礒田正美助教授(人間総合科学研究科)が
文部科学省による拠点システム事業について,佐藤眞理子助教授(同)が国内の教育協力リソースについて紹介しました。新研究分野であるシステム
情報工学研究科では岡本栄司教授(システム情報工学研究科)がリスク工学について,油田副学長がロボット工学について紹介を行いました。
また,安部征雄北アフリカ研究センター長から,砂漠工学を事例にしてイスラム圏における高等教育協力について紹介がありました。その後,
本学とアフガニスタンの協力について,意見交換がなされました。この2年間で学生数が120人から4,000人に飛躍的に増大したカブール教育大学の
Rawosh学長は,130年以上の教師教育・教育研究の伝統をもつ本学によるアフガニスタン教育全般と同教育大学との共同に対する強い期待を述べられま
した。
Fayez高等教育大臣及びPopalカブール大学長は,アフガニスタンの高等教育の発展のために,本学にみるような新研究分野をアフガニスタンの大学に
設ける
必要があり,本学への留学生派遣に対する強い関心を寄せられました。さらに,水質汚染と土壌塩化等の環境問題は,生活に必要な水資源の確保と同時に
農業・産業復興を迫られるアフガニスタンでは大問題であり,持続可能な社会実現への高等教育分野における協力に対する本学への期待が述べられました。

油田副学長(中央)からロボット開発に関わる説明を受ける,左からFayez高等教育大臣,Popalカブール大学長,Rawoshカブール教育大学長
- 第14号
(平成16年7月22日
通巻1083号)
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CRICED-JICA共同セミナー「ホンジュラス教育の現在と師範学校の大学化」開催される
7月2日(金)に総合研究棟A107室で教育開発国際協力研究センター(CRICED)とJICA筑波国際
センターによる共同セミ
ナー「ホンジュラス教育の現在と師範学校の大学化」が開催され,48名が参加しました。
ホンジュラス国立教育大学教員研修局長Julio Ceasar NAVARRO POSO氏
は,ホンジュラスの識字率は76%であること,小中学校(義務教育)の中途退学率が58%であること,農村貧困地域の教育が問題になることを指
摘しました。
国立教育実践研究所長Jose Hernan MONTUFAR CHINCILLA氏は,ホン
ジュラス国ではじめて教育省が審議会を組織して教育課程改定を行い,
今後どう実施していくかが課題になると述べました。
西部師範学校教員養成センター所長のMarden Mauricio DELCID
MARTINEZ氏は,日本の高校に相当する小中学校の教員養成機関である師範学校を
大学化するためには,教員養成プログラム内容の確定と師範学校教員の資格向上が必要であることを強調しました。
このような課題や問題に対して,教育開発国際協力研究センターは,日本の教育経験を生かしながら,教育課程を実施し改定していく
方法について,また,現職
師範学校教員の研修プログラムについて提案し,賛同を得ました。
セミナー後に,ホンジュラス算数指導力向上プロジェクト研修団の成果発表会があり,充実した研修を行えたことに対する謝辞が述べ
られ,今後とも教育協力を
継続してほしい旨の依頼もありました。教育開発国際協力研究センターは,引き続きホンジュラス国の算数指導力向上プロジェクトを推進していくこととなりま
す。

共同セミナーの様子
- 第12号
(平成16年6月23日
通巻1081号)
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ホンジュラス算数指導研修団油田信一研究担当副学長を表敬訪問
教育開発国際協力研究センター
(CRICED:中田英雄センター長)では,国際協力機構(JICA)によるホンジュラス国算数指導力向上プロジェトを
2003年度より支援しています。ホンジュラス国は,ユネスコ「万人のための教育」宣言実現指定国として各国から支援を受けており,特に,日本は教育協力
の
得意分野として算数教育を分担しています。
このプロジェクトでは,算数の指導書とワークブックを開発し,その指導書による優れた指導法の普及をめざします。そして,ホン
ジュラス国の
算数指導を改善することにより,就学率,進級率の改善を進め,ホンジュラス国の自立的発展を支援します。
また,このプロジェクトは,日本側では,礒田正美(責任者/CRICED,人間総合科学研究科),清水静海(人間総合科学研究
科,学校教育学専攻)
及び附属小学校(堀和郎校長)算数部(坪田耕三,細水保宏,田中博史,山本良和,夏坂哲志)等が協力しております。今秋には,このプロジェクトで開発
された教科書の国定教科書化が予定されています。
今回の受入研修は,このプロジェクトで3回目を迎えます。受入研修は,6月14
日~7月6日の間で,2週間を東京キャンパス,1週間を筑波キャンパスで
行います。その間,教育学系と附属学校関係教員の支援を得て,教育行政,学校経営,教員研修,算数教育の研修が実施されます。
研修の初日として6月15日,研修団一行は油田信一副学長を表敬訪問しました。油田副学長は,明治5年以来の教育研究の伝統,開
学30年来の国際的発展を
紹介され,自らのロボット研究を例に,JICA受入研修の重要性を指摘され,ホンジュラス国からの留学を歓迎されました。Navarro
Poso国立教育大学教員研修所長,
Montufar Chinchilla国立教育実践研修所長からは,算数指導力向上プロジェクトによる研修団受入のお礼と,本学による教育協
力継続の必要性と期待が述べられ,
今後の一層の協力要請がありました。
一方,油田副学長からは,JICAと共同して今後も継続支援したいとの言葉がありました。

ホンジュラス国算数指導研修団一行17名

油田副学長とNavarro Poso所長
- 第9号
(平成16年5月12日
通巻1078号)
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特別講演会「アフガニスタンの課題と教育分野への支援」の開催について
-教育開発国際協力研究センター(CRICED)-
教育開発国際協力研究センター
(CRICED)は,独立行政法人国際協力機構筑波国際センター(JICA 筑波)とともに,
4 月28 日(水)第一学群1D204 教室において,特別講演会「アフガニスタンの課題と教育分野への支援」を開催しました。
アフガニスタンで教育分野・NGO 支援を中心に援助調整に携わってきた国際協力機構アフガニスタン事務所の
斎藤之弥企画調整員を講師としてお招きし,アフガニスタンの現状,初中等教育・障害児教育の機会の拡大や質的向上,
ノンフォーマル教育の拡充,行政制度立て直し等についての講演がありました。
国際教育協力に関心のある学類生や大学院生,教官を始め,「コスモエコー」や「希望の学校」などのNGO
からの参加者もあり,講演終了後は質問者の輪が出来,本講演を通じてアフガニスタンの復興,教育開発の課題も
明確になるなど,これからの国際教育協力への期待がふくらみました。
今後,CRICEDでは,JICAや各研究機関と連携を図り,同国への教育協力を積極的に推進していくこととなります。

講演する斎藤之弥企画調整員
- 第7号
(平成16年4月7日
通巻1076号)
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アフガニスタン教育大学ムスリム教授が北原保雄学長を表敬訪問
教育開発国際協力研究センターの主催で3月
21
日につくば国際会議場で開かれた「第2回開発途上国における基礎教育開発に関する国際フォーラム」において,アフガニスタン教育大学のイスラムディン・ム
スリム教授が「アフガニスタンにおける障害児教育の現状」について講演しました。障害のある子どもの教育の必要性を切々と訴える同教授の講演は参加者の胸
を打ちました。同教授は25日に茗溪会館で行われた夜間大学院修了式後の北原保雄学長を訪ね,同国の障害児教育協力の要請をしました。アフガニスタン教育
大学には,障害
児教育教員養成課程がまもなく発足の予定であり,わが国の官・民の支援を受けて同大学内の敷地に附属学校を建設中です。
昨年10月に教育開発国際協力研究センターの中田英雄教授(人間総合科学研究科)は,国際協力機構(JICA)短期派遣専門家と
してアフガニスタン教育大学と障害児教育の現場を視察しました。
今後,同センターはJICAや大学・研究機関などと連携して,同国の障害児教育分野の教育協力を積極的に推進していくこととなります。
- 第5号
(平成16年3月10日
通巻1074号)
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文部科学省永野博国際統括官が教育開発国際協力研究センターを訪問
2月26日文部科学省大臣官房永野博国際統括官が学長を表敬し,文部科学省の本学に対する強い期待感を表明されました。文部科学省は,平成15年度より基
礎教育分野における途上国への教育協力のための拠点システム事業を展開しています。本学の教育開発国際協力研究センター(CRICED)は,その中核セン
ターとして全国共同利用研究施設的な役割を担っています。
永野国際統括官は,学長表敬後,教育開発国際協力研究センターを訪問されました。同センターは拠点システム事業の中でも,学校経
営,算数・数学教育,理科
教育,派遣現職教員協力隊員支援,障害児教育,そして拠点システムその他全事業の成果を発信する電子アーカイブ事業を分担しており,永野国際統括官はその
推進を高く評価されました。
村田翼夫教育開発国際協力研究センター長,中田英雄教授(心身障害学系),礒田正美助教授(教育学系)の他,油田信一教授(機能
工学系)が同席した懇談で
は,関連分野におけるJICAプロジェクトの推進,JICA受入研修の増大,Numeracy(数量図形識字力)育成と関わる情報リテラシー教育などの新
協力分野の開拓について説明を受けられました。その上で,アフガニスタン,ボスニア・へルツエゴビナなどをはじめとする途上国への本学による国際教育協力
は,法人化後の大学の社会貢献を評価する上でますます重要になるとの期待を表明されました。

左から永野国際統括官,北原学長,村田センター長
- 第3号
(平成16年2月12日
通巻1072号)
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国際教育協力シンポジウム「教育の質的向上を目指す日本の国際教育協力の展望と課題
-JICA算数・数学教育関連プロジェクトを例に-」開催される
-教育開発国際協力研究センター-
教育開発国際協力研究センターでは,1
月25
日(日),国際協力機構(JICA:Japan International Cooperation Agency)国
際協力総合研修所(市ヶ谷)にて国際教育協力シンポジウム「教育の質的向上を目指す日本の国際教育協力の展望と課題- JICA
算数・数学教育関連プロジェクトを例に-」を開催しました。
文部科学省大臣官房国際課国際協力政策室行松泰弘室長,国際協力機構社会協力第二課萱島信子課長(基礎教育協力チームリーダ)を
来賓に,数学教育関係者,
国際協力関係者,学校関係者等122 名の参加があり,本学関係では附属学校から8 名,新設の北アフリカ研究センター関係者5 名が参加しました。
文部科学省は,国際教育協力を推進するために,本学と広島大学を中核とする拠点システム事業を平成15
年度から展開中です。その中,本学は,教育経営,算数・数学教育,理科教育,派遣現職教員支援,障害児教育及び電子アーカイブ事業を分担しており,このシ
ンポジウムは,算数・数学教育事業(代表者礒田正美助教授(教育学系,教育開発国際協力研究センター))が,国立大学数学教育関係教官と協同して組織し,
JICA の後援を得て開催したものです。
開式では村田翼夫教育開発国際協力研究センター長が「万民のための教育宣言」への問題提起を行い,閉式では中田英雄教授(心身障
害学系,教育開発国際協力
研究センター)が「教育協力の科学的研究」が課題になることを指摘しました。

挨拶する行松泰弘国際協力政策室室長